2017年01月17日

「人の話を聴く会」のための序文

「人の話をちゃんと聞ける人間になりたい」と思ったのは、二十歳を少し過ぎた頃でした。
それはある種の人達が、野球選手や音楽家になりたいと思うことと、根本の部分では一緒かもしれません。
ただし大きく違うのは、それの行き着く先が、当時も今も解らないと言う事です。

考えてみると、それまでの僕は一方的に喋り、冗談ばかり言って、適当に人と付き合う。
自分とも他人とも真剣に向き合うという事をしない。
と言うよりも、真剣に向き合うという事がどういう事かが解らない。
そんな人間だったように思います
そして、そんな自分に嫌気がさし、ある種の危機感をそこに感じていました。
「これまでと同じ生き方をしてたら、僕はおそらく、どこにも辿り着くことが出来ない」と。

それから僕が意識的に始めたのは、
自分の話を出来るだけおさえて、その分相手の話を集中して聞く。
分らないことはいちいち質問し、その内容をちゃんと理解するように努める。
話の流れに注意して、うなずき、相槌を打つ。
どれも単純なことばかりですが、それらを繰り返すことで、「人の話が聞ける人間」にちょっとずつ近づいて行けた気がします。

そして気がつくと、あの危機感を感じなくなっていました。

じゃあ僕は、どこかに辿り着くことが出来たのか?

分りません。
今思うことは、あの頃の自分には「どこかに辿り着くこと」が重要だったのではなく、あの「どこにも辿り着けない」状況から抜け出すことが切実であり、重要だったのではないか。
そんな気がします。
そしてさらに思うことは、あそこから抜け出すことが出来て本当に良かった。

人の話を真剣に聞くことは、クラシックやジャズを真剣に聴くことと、どこか似た行為の様な気がします。
スピーカーに向かって質問することは無理ですが、それらは集中して聴(聞)く程に、そこから得られる情報量はその広がりと深みを増し、思いもよらない地点に僕らを運ぶことがあります。
もちろんいつもそう上手くいく訳ではないですが(人生のように)、僕が今思うのは、音楽を聴くように人の話を聴きたい、ということ。
そして、それが上手くいった後に、自分がどの地点に立っているのか。
それも聴く楽しみの一つであります。
店主拝

ColtraneDavis.jpg
*あの頃、特に真剣に聴いていたのはこの二人。もちろん今でも聴いています。
どうですか、音楽(サウンド)が聴こえてきませんか?
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2017年01月06日

「人の話を聴く会」について

去年トムネコゴで新しく始めたことのうち、僕にとって特に重要だと思うものは、ブログ(文章を書く)と「人の話を聴く会」です。
二つに共通しているのは、自分の能力を活かしている実感があり、そこに可能性のようなものを感じていること。
こういうことは僕に久しく無かったことなので、新鮮であり、刺激的に感じています。

その一つ、「人の話を聴く会」について書いてみます。

トムネコゴに有名・無名・ジャンルを問わず様々なゲストを招いて、僕(店主)が聞き手となり、そのゲストの話を聞いていく、文字通りのシンプルで地味な会です。
僕としては、そのゲストの方の仕事の中身と、その人自身(人間)のことを、バランス良く聞き出せたらと思っています。

これまで会を4回やって来て、人の話を聞く醍醐味とは、僕らの知らない世界(知識)を聞けることにだけあるのじゃなく、生のその人の声で、直にその話(物語)が語られるのを聞くことができる、そんなところにもあると思うようになりました。

僕は第4回のゲスト土井章史さんが言われた「長(新太)さんのナンセンスは、解る解らないじゃなく面白い。」という言葉を、その時の状況、雰囲気、声のトーン、全て込みで覚えています。
活字にすると大したことのない言葉に聞こえるかもしれませんが(土井さんすいません)、僕にとっては、どこか言葉を超えた、特別な瞬間だったように思います。

そこにはおそらく、それぞれの思いがあって、それぞれの熱があった。
僕らはお互いに、それらを持ち寄ることで、あの特別な瞬間を生み出すことができるのかもしれない。
そんなことを僕は、「人の話を聴く会」を通じて考えます。

興味を持たれた方は、是非一度起こし下さい。
一同(とむ猫と店主)お待ちしてます。
店主拝
NEC_0133.JPG
*ヘイデンさんは音楽的に聞き上手だと思いますが、皆さんはいかが思いますか?
posted by トムネコゴ at 15:47| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 基本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月04日

トムネコゴのこと

濃いめに落としたネルドリップ珈琲・紅茶、チーズケーキ、トースト・KIBIYAベーカリーのパンセット等々のシンプルなメニュー。

音楽は13時頃まではクラシック(主にバッハ)、その後は落ち着いたジャズを流しています。

予算はだいたい1000円以内。

「心静かに、落ち着ける場所づくりを心がけています。」

珈琲と煙草.jpg

営業時間 12−21(l.o20:30)
(土日祝は11時オープン)
定休日 火曜日
(祝日の時は営業。振替休日ほぼ無し)
連絡先 080-6502-0406
    thomnecogo@gmail.com
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