2008年10月2日 金曜日、午前11時開業。
通りから店内を、チラチラと覗く人達。
立ち止まっては佇み、のち、また歩き出す人達。
入り口から中を覗き込み、不思議な顔で、そこを離れる人達。
そんな状況が何度か繰り返され、無人のまま、午後2時を過ぎる。
“どうして入って来ないんだろう?”
そう気を揉んでやっと気が付いた事は、開店を示す看板を何も出していないという事(!)。
急いでどこかから適当な板を見つけ出し、妻が茶色のペンキで大きく書く。
『OPEN』
それを外に出し、ちょっとして、ようやく初めてのお客さんが来る。
その女性は窓際の席に座り、メニューをパラパラと眺め、トムネコビターとケーキを注文。
僕は急いでお湯を沸かし、豆を挽き、ネルをセットして、カップを温める。
それから濃い珈琲をおとし、手鍋に移し、かるく火にかけて、カップへと注ぐ。
その間に妻がケーキを準備し、渡された珈琲と共に、窓際の席へと運ぶ。
その女性は読んでいた雑誌を片付け、テーブルの上を空けると、そこに珈琲とケーキを並べた。
そしてそれらを、パチリと一枚写真に撮った。
まるで発掘された“何かの骨”を撮影する考古学者のように、とても個人的に、撮った。
それからカップを持ち上げ、静かに口をつけた。
僕は自分が淹れた珈琲がどう評価されるのかが気になり、それが怖くもあって、その様をまともに見ることが出来なかった。
カウンターの中でしゃがみこみ、壁にもたれてじーっとガス台を見つめていた。
そしておそらくは、その場から逃げ出したいと思っていた。
「すいません、珈琲おかわり下さい」
それは突然の声であり、全くの晴天の霹靂。
僕は立ち上がり、かるく深呼吸して、もう一度、お湯を沸かし始める。
(ただそれだけの話・実話)
お知らせです。
何が原因かは分かりませんが、10月29日(日)の第10回『人の話を聴く会・番外編』の残席は、早くもあと1席となっています。
気になる方は、お早めにどうぞ。
その2。
来週の水曜(11日)は、もう一つの定休日(毎月第2水曜)です。
うっかりすることのないよう、お気をつけ下さい。
店主
「急に降ってきたわね」「今日、雨なんて言ってた?」「言ってないわよ!」「そうよ。晴天の霹靂よ」
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こんにちは。
祝いの言葉ありがとうございます。
バースデーソングはやっぱり、スティービー・ワンダーですかね。
バースデーソングはマリリン・モンローなんて如何でしょう?
こんばんは。
どうもありがとうございます。
そしてバースデーソングの提案まで。
でもマリリンに歌われるといつか暗殺される恐れがあるので、ここはやっぱり、平和にスティービーかドリカムでどうでしょうか。