昨日吉祥寺シアターで、地点の「かもめ」を観劇して来ました。そうチェーホフの戯曲です。
地点とは京都を拠点に活動している劇団で、三浦基(みうら もとい)という方が代表と演出をされているようです。
その地点の「かもめ」。
内容は省きますが登場人物は6人だけで、皆ほとんど出ずっぱり。衣装替えも舞台装置の変化もほとんど無し。台詞と動き、少しの音楽だけで全てを表現していました。そんな劇。
そして観終わった後、僕は放心状態で椅子に腰掛けたまま「これは凄いものをみた」と心で呟きました。
どう凄かったのか?
役者・演出家の力量、他のかもめとの違いなどは僕の手に余るので、あくまで個人的な感想を書きます。
地点の「かもめ」を観て強く思ったことは、「かもめには笑うところは一つもない。」ということ。
可笑しな台詞、コミカルな動き、突発的な奇声、歌、タップダンス等々、笑いを誘う場面はいくらもあります。と言うかそれらで物語が進行すると言ってもいいくらいたっぷりある。
ただこれらは笑いを誘うためにやっているのではなく、感情的に追い詰められた人間の、切実なる裏返しの声であり動きである。
僕にはそう思えてならなかった。
だから可笑しいなことをすればするほど、悲しさがいっそう浮き彫りになり、その可笑しさの裏を見ることになる。
悲哀が充満する劇。
そう言えるかもしれません。
これがチェーホフの「かもめ」の本質なのか?それとも地点の「かもめ」のなせる技なのか?
この問題も僕の手に余るようです。
(世の中には自分の手に余る事柄でそれこそ充満しているのかもしれませんね)
もし興味を持たれた方は、吉祥寺シアターもしくは地点で検索してみて下さい。
来週は桜の園です。
すごく楽しみ。
*トムネコゴは地点の営業担当ではありません。ただたんに、「ちょっと凄いの見たよ。良かったら行ってみて。」という気持ちから書きました。店主