2022年12月14日

「土を耕し、種を蒔き、水をやって、後は待つ」

先日、約3年ぶりに「菅間一徳ソロ演奏会」が行われました。
それまでは数年に渡って季節毎に行われてきたこの小さな会。
派手に宣伝するでもなく、どちらかと言えばひっそりと、地道に続けてきました。
それでも回数を重ねるごとにお馴染みさんも増え、いつしか毎回席が埋まるような会になっています。
驚くのは、ジャンル分けの出来ない、あまりに独特な音楽性を持ったこの稀有な音楽家の会にこれだけの人が集って来るということ。
それは音楽そのものが持つ力とそれを生み出す人間の力、そしてそれらを共有するオーディエンスの(切実な)思いが、この様な状況を作り上げたのでしょう。
時間をかけてじっくりと取り組んできた事が、いつしか実りの時を迎えている…。
まるで農夫が作物を育てるみたいに、土を耕し、種を蒔き、水をやって、後は待つ、そんな感じで。

今回、3年と言う長いブランクが空きました。
それがどの様な形で現れるのかと半ば心配していましたが、演奏が始まって最初の一音で、それは杞憂だったと悟ります。
全くのMC無しでいきなりギターを弾き始めた菅間さんは“あの”菅間さんでしかなく、その音楽も、オーディエンスの思いも、前のまんまでそこに存在していました。
変わらぬ朝の光や大平高之の絵、それから時折通り過ぎる電車の音とともに。
「あー、やっとこの日が来た」
僕はそんなことを思いながら目を閉じ、懐かしいあのメロディーにしばし耳を傾けます。
すると胸にグッとくるものがあり、慌てて目を開けると、どこかで誰かが鼻をすすっている音が聞こえてきました。

菅間さん、オーディエンスの皆さん、佳い時間をありがとうございました。
菅間一徳の全作品が今トムネコゴに置いてありますので、この機会に聴いてみたいという方は、是非手に取ってみて下さい。
いい曲たくさん入っていますよ。

さて、菅間一徳の演奏会は終わりましたが、同日より「大平高之作品展」が始まっています。
大平さんの絵を見て曲が出来ることがある、という様なことを演奏会で言っていた菅間さん。
その菅間さんのCDのジャケットの絵を、大平さんはいくつか描いています。
そんな大平高之の作品たちを、お立ち寄りの際にはのんびりと、そしてじっくりと眺めてみて下さい。
もしそこで何かメロディーが浮かんだとしたら、それはきっと素敵な曲になるはずです。
ちょうど菅間さんが作った『August』(大平高之の同名の絵が元になっている)が、素敵な曲であるのと同じ様に。

「大平高之作品展」大晦日までやってます。
店主

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いかにも大平高之らしい絵のポストカードたち。
posted by トムネコゴ at 08:43| 東京 ☀ | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする